セニョールKENT音楽レポート「 フォルクローレ」

Vol.11 フォルクローレ @BOLIVIA
 

■ フォルクローレ


「コンドルは飛んでゆく」…正直言ってコレしか印象になかった…。

さすがに日本人でも大抵の人が知っているであろう、この「コンドルは飛んでゆく」、あの哀愁120%のメロディしか私にはフォルクローレ(※1)と言われても印象になかったのだが、このアルティプラーノと呼ばれるペルー・ボリビアのアンデスの高原地帯を転々と旅していると、街中国中いたるところからその旋律が溢れ出し、フォルクローレが昔懐かしの伝統音楽などではなく、現役バリバリの音楽であることを叩き込まれる。

実際のところ、フォルクローレへの私の印象はまったくの間違いであったわけではなく、あの特徴的な哀愁メロディーはある種のフォルクローレの重要な魅力であることは確かなようだが、私の出会ったフォルクローレはどちらかと言うと哀愁と言うより「陽気」なものの比率が多かったように感じる。

何とも説明しがたいのだが、あの「コンドル…」と同類の音楽なはずなのに、明るい感じなのだ…?!
フォルクローレといえばインディヘナの音楽。

植民地時代(そして一部今も続く)の過酷な彼らの労働など、現実の辛さ、悲しみなどから生まれて歌われる歌も多いので、あの印象的な哀愁メロディーなわけだが、結婚式やお祝いで楽しむための明るいものも多々あり、実際自分もペルー・プーノのチチカカ湖の島で楽しく島民とダンスパーティーに赴いてきた。そんな多様性があるからこそ、そんな多様性がなければ現役バリバリを張ってはいられない。何だかグチったり楽しんだりしていた日本での私の精神構造とフォルクローレを無理やり繋げてみたりもするが、あながち間違ってないかも?

フォルクローレはペルーやボリビアでは若者も、おじいちゃんおばあちゃんも好んで聴いている。ただ、フォルクローレはその生誕の歴史上ずっと「コンドル…」だった訳じゃない。フォルクローレはとってもミクスチャーな音楽だったようだ。

街から聴こえる音楽に耳を傾けてみる。

…レゲエ?…あの独特の裏打ちが入っている!今若者が好んで聴いているフォルクローレにはレゲエ調の陽気なリズムの曲が多く、音楽チャンネルからはサルサなんかとゴッチャになって流れてきたりする。ラテンアメリカだけにサルサ調や、ポップス、打ち込み系、ロック混じりも多い。

なるほど、地球の裏側に住む人達も当然その世代ごとに音楽ってモンを進化させ、クリエイトして、自分流に楽しんでいるわけだ。そもそもフォルクローレなんてオリジナルのジャンルを生んだ人たちだ、黙って楽譜に習ってケーナやサンポーニャやチャランゴ(※)演奏し続けるわけないですな。

※ 1 文中でフォルクローレとひとまとめにしていますが、一言にフォルクローレといってもその中にそれぞれジャンル分けされた細かい呼び名があるそうです。
※ 2 フォルクローレの代表的な楽器。



写真:伝統的なフォルクローレの楽器たち。私達の常識からかけ離れた特徴的な楽器の作りがあの独特な音色を奏でる?(ラ・パスの楽器博物館にて)

 

 


   






 
 
 

 

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